タバコの根で合成されたニコチンが葉に運ばれて蓄積される仕組みを、京都大のチームが解明し発表した。
ニコチンは導管を流れる水と一緒に根から葉に向けて移動。Nt-JAT1タンパク質にニコチン輸送能力があり、実際にタバコの葉の液胞膜で働いて、ニコチンを葉の液胞という袋にため込んでいる。
この働きを邪魔すれば、ニコチンを含まない品種のタバコが開発できそうだという。吸った気分はそのままに、ニコチン中毒からの脱却を助ける禁煙用たばこができるかもしれないと結論づけている。
もっともタバコには依存性があるニコチンの他に、タールや一酸化炭素などいろいろな毒性成分があり、ニコチンだけで論ずることはできないが、少なくとも禁煙にニコチンが深く関係しているのは間違いない。さらにニコチンはアルカロイドの一種ということを考えると、アルカロイドの一種であるニコチンの貯蔵メカニズム解明の一歩となるこの研究は、単にニコチンが少ない禁煙用タバコというだけではなく、アルカロイドなどの薬理成分を効率的に貯蔵したりする植物の開発にも役立つことが期待されている。