アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、血中では高分子量(12~18量体相当)、中分子量(6量体相当)、低分子量(3量体相当)の多量体として存在し、肝臓や骨格筋に働いて、糖の取り込みや脂肪酸の燃焼を起こすAMPキナーゼを活性化する。 AMPキナーゼは、肝臓では糖の新生を抑制して脂肪の燃焼に、骨格筋では糖を取り込んで脂肪の燃焼に働いている。この作用の活性化の伴い、肝臓と骨格筋で中性脂肪が低下し、インスリン抵抗性を改善するとされている。
受容体にはサブタイプが報告されていて、骨格筋をはじめ多くの組織に存在するAdipoR1、肝臓に豊富に発現するAdipoR2があり、血管やマクロファージ、脳には両受容体の発現が認められている。また、脳でも両受容体が発現する。
また、アディポネクチンは脂肪細胞が自ら分泌している善玉のアディポサイトカイン(動脈硬化予防につながる)といわれている。
アディポネクチン受容体は視床下部の弓状核に発現が認められ、特にAdipoR1は食欲を抑えるレプチン受容体とほぼ同じ部位に存在していることが明らかにされた。
さらに絶食時にはAdipoR1の発現が有意に上昇し、再摂食によって低下する結果が得られている。
アディポネクチンには飢えに備えて脂肪を蓄え、エネルギーの消費を減らす「倹約遺伝子」の機能があると分析している。特に、レプチン受容体と同じ部位でアディポネクチン受容体の発現がみられることから、相互に影響することによって、摂食調節に働いているのではと考えられている。
特にAdipoR1を介したシグナルが、食欲増進に働いているとみられている。 肥満時には活性が高い高分子量のアディポネクチンが減少することで、エネルギー消費が低下すると共に、メタボリックシンドロームや糖尿病を引き起こしやすくなると考えられている。
脳内で発現しているアディポネクチン受容体は、構造の一部が違う可能性があるとも言われ、今後の研究が待たれる。今後、研究が進めば脳内のアディポネクチン受容体を標的とした抗肥満薬開発なんてこともありそうである。