医療制度改革ではこれまで40歳から75歳を対象としていた健康診断と保険指導の実施が、2008年度から企業や健康保険組合など医療保険者に(年令の区別無く)義務付けられることになった。結果として20歳以上で約6割に留まっている健康診断の受診率が上がるため、厚生労働省ではこれにあわせ、保険指導を内臓脂肪症候群を減らす機会として活用してくつもりである。厚生労働省では2007年にこのような新しい指導方法の基準となるプログラムを策定し、2008年度から実施させる考えだという。
2008年度から健康保険組合など公的医療保険に対して生活習慣病の健診などが義務付けられることに伴い、厚生労働省は、健康診断の在り方をめぐる検討会の初会合を開き、健診や保健指導のデータが企業の人事政策に安易に使われないよう、企業の人事担当者に対し健診データの閲覧を制限する方針を示した。
一方、厚生労働省は、健診や保健指導の結果の集計や分析、送付を容易にするため、電子データの形で保存することを義務付ける考えも示した。保険師が健康診断結果を踏まえて食事や運動習慣を改める具体的な目標を面接やメールで積極的に提し、継続的にチェックを行うスタイルを目指す。成績が良ければ、保険者から後期高齢者医療制度への支援金を減額、悪ければ増額することになっており、検討会では今後こうした措置の具体的な仕組みなどを協議する。
新しい保険指導では、内臓脂肪症候群の解消のために指標となるウエスト周囲径(腹囲)や血圧、血糖値などの数値の改善を目標とする。健康診断の結果を見て、「腹囲や血圧などに問題が多く、改善が不可欠な場合の『積極的支援』」と「一部に問題はあるが現状維持でもいい場合の『動機付け支援』」などを状況に応じて実施する。
具体的には食生活や運動の目標設定と3か月から6か月ごとの面接・メールによる確認、アンケートによる生活習慣の改善の啓蒙など、多方面からの指導を行う。このため、保険師らを対象にした研修も行う予定。
内臓脂肪症候群(メタボリック症候群)は生活習慣病(脳卒中、心筋梗塞、糖尿病など)の原因の一つとされている。厚生労働省では2015年度までにこれを25%減らす目標を掲げており、今回のプログラム策定にはそれを目指すためのものと考えられる。