欧州連合(EU)の欧州委員会は8月28日、化粧品の成分や副作用について消費者への情報開示をメーカーに義務付ける指針をまとめた。
消費者保護の観点から、化粧品の使用で引き起こされるアレルギー反応などについて情報提供を徹底するのが狙いということらしい。
EU25カ国で販売されるすべての化粧品が対象となるため、日本のメーカーにも影響が及ぶ。
EUの新指針によれば、消費者から化粧品の使用によるアレルギー反応やかゆみなどの問い合わせがあった場合、化粧品メーカーは副作用にかかわる情報を開示する義務を負う。さらに化粧品に含まれる一定の成分について化粧品メーカーにラベル表示などを求めた。
欧州委員会は「透明性を高めて消費者が商品選択の幅を広げられるようにする」との声明を発表した。 化粧品業界では商品開発競争が激しく、EUは知的財産権などに配慮するため、成分情報では一定の幅を持たせたラベル表示を認めるとしている。
フランスに2カ所の生産拠点を持ち、欧州での化粧品販売額が年間約800億円の資生堂は「内容を慎重に検討する」としている。日本国内ではすでに成分表示をしている。ただ副作用にかかわる情報など開示を求められる範囲によっては影響を受けることから、EU指針の行方を見極めたうえで対応を決める。
副作用にかかわる情報などの開示について、どのようになっていくのか注目していく必要があるだろう。
日本では、化粧品についてはすでに全成分表示が行われており、医薬部外品については、2006年4月に業界団体が自主申し合わせとして全成分表示を自主申し合わせとして出し、2年の猶予期間となっている。副作用においても報告制度はあるが、積極的に開示していくようなシステムにはなっていない。