

よく、薬局や製薬会社、医療機関などでは、「妊娠しているのだが薬をのんでしまった。大丈夫なのだろうか?」という質問を受けることがある。実際のところは、絶対大丈夫もないし、100%危険ということもないであろうグレーゾーンである。
学術的な見地からいうと、妊娠2ヵ月(4~7週)の器官形成期が、心臓・消化器・中枢神経・四肢など重要な臓器の発生・分化の時期になっている。妊娠3~4ヵ月(8~15週)は、は相対過敏期で重要器官の形成は終わっているが、口蓋の閉鎖や性器の分化などが続いている。妊娠5ヶ月以降は、器官の分化はほぼ終わり胎児が発育する時期になるので、催奇形性が問題になることはないが、発育障害などが考えられる。
プロスタグランジン阻害作用をもつNSAIDSは、子宮動脈管の収縮、新生児の動脈管開存などを引き起こすことがある。
OTCの薬であれば、どのような時期でも医療機関受診を薦めることが原則と考えていいであろう。
オーストラリアでは、医薬品評価委員会の先天性異常部会による「オーストラリア基準」ができていて、動物実験やヒト催奇形性報告をもとにA,B,C,D,Xの5段階に分類されている。これは妊娠に対し薬剤を選択する場合の基準であって、妊娠時すでに薬剤を使用した後の奇形児出産の危険性などを判断するのには不十分とされている。
http://www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_03-03.htmlこれを補っているのが、東京虎の門病院の基準で、疫学調査、症例報告、動物実験などから妊娠における薬剤の危険度だけを独自に調査・点数化している。
http://www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_03-04.html
カナダの研究チームはこのほど、妊娠初期におけるNSAIDSの使用と先天性異常との関連性について調べた研究結果をまとめ、妊娠第1三半期(first trimester、妊娠第13週まで)にNSAIDSを服用すると、先天異常(特に心房中隔欠損症)のリスクが高くなると発表した。
妊婦36,387人を対象に行なわれた症例対照研究で、1歳時における先天性異常の発現率を妊娠第1三半期にNSAIDSが調剤されていた群とされていなかった群で比較したもので、調剤されていた群では1056人中93人(8.8%)、調剤されていない群で35,331人中2,478人(8.8%)に先天性異常が見つかった。
先天性異常の発現率は妊娠第1三半期にNSAIDSが調剤されていた群では、されていなかった群に比べてリスクが2.21倍、また心房中隔欠損症に限ると3.34倍にリスクが高まった。
妊娠時におけるNSAIDSの使用については、後期に使用すると胎児尿量の減少や動脈管の収縮などさまざまな影響が出ることが既に明らかになっている他、アスピリンの使用で自然流産が増えるとする報告などがある。
NSAIDSと妊娠におけるリスクについては、こちらのページによくまとめられている。
おくすり110番の
http://www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_04-010.html