最近、鉛の毒性について、米国やカナダで規制され、日本においても遅ればせながら第1回鉛含有金属製アクセサリー類等の安全対策に関する検討会が開催された。
鉛の毒性に関する知見は次のようになっている。
【吸収・代謝】
ヒト・動物においては、鉛は吸入あるいは経口摂取により吸収、経皮吸収はほとんどない。
成人においては、食事中の鉛の約10%が吸収され、絶食状態のほうが吸収率が高い。
幼児や小児では、食事中の鉛は50%が吸収される。
吸収された鉛は、血液及び軟部組織への速やかな取り込みの後、骨に緩慢に再分布される。
血中及び軟部組織における鉛の半減期は約28~36 日であるが、各種の骨部分においてはずっと長い。
鉛の実験動物におけるLD50 に関する報告は見られないが、動物での短期間の経口投与による致死的な影響の最低濃度は、酢酸塩・硝酸塩等で吸収率等の違いに影響を受け、300~4000mg/kg 体重/日とされている。
【鉛の体への影響】
50~300μg/dL:運動機能障害、認知機能等への影響
60μg/dL:腎疾患リスクが高くなる
40μg/dL:子供におけるヘモグロビン濃度低下に関する血中鉛濃度の閾値
40μg/dL:感覚運動機能障害
30μg/dL :末梢神経の伝達速度の低下
11~15μg/dL:認識作用の欠損、鉛暴露の中止後の持続
11~15μg/dL:早産及び胎児の生育と成熟の一部の指標に影響
10μg/dL:知性や他の神経発達への有害影響に関連
ヒトにおける発がん性の証拠は不十分であるが、特定の無機鉛化合物は実験動物において発がん性を示す十分な証拠がある。
米国・消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission, CPSC)は昨年「鉛を含有する子供用装身具に対する暫定指針」を発表している。金属装飾品における鉛含有量を測定し、その量が0.06w/w%を超える製品については、更に溶出試験を行い、溶出量が175μg 以下とする基準を設けることになっている。
カナダ保健省及び米国CPSCでは、鉛を含有する子供用アクセサリーについて製品の自主回収に関する発表が行われた。
鉛の含有量の大まかな状態は、X線を物質に照射するときに放出される蛍光X線を測定することにより、製品表面の鉛の含有量を分析する蛍光X線分析法(XRF)により測定できるということらしい。