乾燥したタイプと湿ったタイプの2つがある人の耳あか。どちらのタイプになるかは、遺伝情報を担うDNAの塩基配列の、たった1カ所の違いで決まることが明らかになり、米科学誌
ネイチャージェネティクス電子版に発表した。
実は、耳あかは本来湿っているもので、乾燥したタイプは耳あかではなく、単に皮膚がはがれたもの。乾燥タイプの人は耳あかが出ない“突然変異”で、日本人は約8割がこのタイプだという。 なんと突然変異のほうが多いということになる。
日本人126人の塩基配列を調べた結果、ある1カ所の塩基(原因遺伝子は16番染色体)が変異した遺伝子を両親双方から受け継いだ人は「ABCC11」というタンパク質が合成されず、耳あかが出ないことが突き止められた。
「カサカサ型」の88人は1人を除き、「ABCC11」という遺伝子の塩基配列の特定の場所が「A(アデニン)」で、一方「ネバネバ型」の38人は、そこが「G(グアニン)」だった。
耳あかの型は民族による違いが大きく、日本などアジアでは8~9割が「カサカサ型」で、欧州やアフリカでは9割以上が「ネバネバ型」だ。
さらに、世界の33民族、計約3200人について調べたところ、耳あかの出ない人は日本を含む北東アジアに多く、南方や欧米、アフリカに行くにしたがい徐々に減ることも判明した。
ABCC11ができないことによる弊害は今のところ不明ということである。
このタンパク質は特定の抗がん剤などに対する抵抗力に関係していることが分かっている。この遺伝子は、薬剤の代謝と関連があると知られており、どんな薬と関係が深いのか、研究を進める。また、遺伝子が特定できたことで、耳あかの「ネバネバ型」と深い関係が知られている腋臭症の研究も進みそうだ。将来、患者の耳あかを調べることで、薬剤の効果や副作用を予測できる可能性もあるという。
ヒト耳垢型(腋臭・多剤耐性)遺伝子のポジショナルクローニングと 東アジア由来モンゴロイド集団における乾型多型の拡散