世界初の経皮吸収型のアルツハイマー型認知症治療薬を目指し、ノバルティスが日米欧で開発を進めている「ENA713D」について、日本では小野薬品と共同で開発し、販売も共同で行うことになった。
日本ではPII(フェーズⅡ)を実施中で、小野の合流はPII途中からになりそう。欧米ではPII/IIIの段階にある。承認・上市見込み時期は明らかにされていない。
同剤は、リバスチグミンと呼ばれる製剤。脳内神経伝達物質を分解してしまうコリンエステラーゼを阻害し、症状の進行を抑制することが期待されている。
リバスチグミン製剤について
アルツハイマー型認知症は、記憶や思考、行動に関して重要な役割を担っているアセチルコリンの脳内生成が減少することによって発症するといわれている。
リバスチグミンは2つの分解酵素を阻害し、脳内アセチルコリンの有効利用を促進することから、脳内神経伝達系を活性化するコリンエステラーゼ阻害薬の一種で、アセチルコリンの分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼの双方を阻害する薬剤アルツハイマー型認知症患者さんの症状の進行を抑制することが期待されている。
リバスチグミンの経口剤であるエクセロン®カプセルは、アルツハイマー型認知症治療薬として1997年にスイスで最初に承認され、現在海外70カ国以上で使用されています。
アルツハイマー型認知症について
アルツハイマー型認知症は、進行性疾患であり、徐々に脳が変性退化することで記憶や思考、行動が減退します。世界では1,000万人、日本ではおよそ100万人の患者さんがいると推定され、65歳以上では2~6%の人が発病しているといわれている最も発症頻度の高い認知症です。アルツハイマー型認知症はこの年齢層において、心血管系疾患、がんに次ぐ第3番目の死亡原因ということだそうです。