視覚障害者の中には、「見る」のに役立つ反響定位(エコーロケーション)という別の感覚が発達する人がいることが、スコットランド、ヘリオット・ワット大学のGavin Buckingham氏らの研究で示されています。
このエコローションという能力は、コウモリやイルカ・クジラが使っている超音波を出し、その反響で獲物を見つけ出す、つまり周囲を認識する能力です。音による感受法でありながら、一般の聴覚よりも、むしろ視覚に近い役割を担っていると言われています。
イルカは鼻から発生させる音波をメロン体で増幅、跳ね返って来た音波を下あごから伝って耳骨で聞いています。一秒間に200回ほどギリギリという音を鳴らし、対象物の大きさや位置などを把握しているのだそうです。またコウモリは自分の発する声の反射を利用して、暗闇でも障害物を避けたり餌をとったりする(エコーロケーションという)ことで知られ、声の周波数は10~150kHzになっています。
人においても、視覚障害者の中には、反響音を利用して周囲の物体の位置を検出できる人がいます。指を鳴らすとか舌打ちをするなどして、音波を物体に当てて跳ね返らせているのだそうです。
Gavin Buckingham氏らは、実験としてまずは被験者を、反響定位を用いる視覚障害者、用いない視覚障害者、視覚に問題のない対照群の3群に分けた。
そして全員に、重量は同じだがサイズが異なる3つの箱を持ってもらい、重量を推定してもらった結果、興味ある結果が得られています。
その結果、反響定位(エコーローション)の能力を使っていない群は、箱のサイズが認識できないため、箱の重量を正確に評価できました。
対照群である視覚に問題のない人たちでは、「大きさと重量の錯覚」に陥り、大きい箱よりも小さい箱の方が重いと感じています。
そして、反響定位(エコーローション)を使っている群も、対照群と同様に「大きさと重量の錯覚」に陥りました。
この結果は、反響定位を用いる視覚障害者が脳の視覚野に頼って反響定位情報を処理していることを示唆するとしている他の研究と一致した内容になっていまいた。