土用の丑の日というと、鰻を食うという習慣は、平賀源内が広めたという話がありますが、鰻は古くは万葉集にも歌われています。
大伴家持(おおとものやかもち)が、
『石麻呂に吾(われ)物申す夏痩せに良しといふ物ぞ鰻(むなぎ)漁(と)り食(め)せ』というものを残しています。
意味的には、「俺は石麻呂に言ってやったのさ、夏痩せにはウナギがいいらしいから、とってきて食いなって」というような感じになります。
医食同源という考えからすると、鰻は五性では「平」、五味では「甘」に該当します。
まず、五性が平ということで体を温めたり冷やしたりする働きは基本的にはありません。
五味は「甘」であり、これは脾胃の働きを助け、虚弱体質の改善や食欲増進、さらには痛みを和らげる作用があります。しかし食べ過ぎると逆に脾胃の働きを弱めてしまいます。
体質的には鰻は、「血虚、陽虚、気虚、陰虚」に有用です。
気虚は、気力がなく疲れやすく、いつも横になりたい。呼吸は浅く息切れしやすい。下痢をしやすく昼間から眠気がして顔につやが無い、汗を良くかいて風邪をひきやすいといった特徴があります。
血虚は、顔色が白っぽくめまいをおこしやすく、手足のひきつりやしびれ感があり、目が疲れやすく、不安や動悸が起こりやすくなります。寝つきが悪く、夢が多くて睡眠が浅く、髪や肌がパサついたり爪が割れやすくなります。
陽虚は、顔色が青白く下半身がむくみやすくて寒さに弱くなっています。夜尿症やトイレが近く、温かい飲み物や食べ物が好きで寝ても疲れがとれず朝に弱いタイプです。
陰虚は、手足がよくほてりのぼせやすく、のども乾きやすく、舌が赤くて細く、よく眠れない、又は寝汗を良くかくといった症状があり便器をしやすく、ウサギの糞のような便が出たりします。
鰻は肝・腎野働きを助け、気と血を補い、疲労回復や老化防止、精神の疲れやめまい、手足のしびれ等にも効果的です。
湿度の高い時期の体のだるさや関節痛、手足のむくみを改善します。
視力改善に効果のあるビタミンA、動脈硬化の予防にも役立つDHAやEPAも豊富に含んでいます。
よく鰻重を注文すると、
山椒がついてきます。山椒は漢方でも使われるものですが、鰻に山椒を付けるのは、鰻の脂肪の酸化を抑えることで、消化を促す作用があると言われています