大腸菌は、菌の表面のO抗原とH抗原によって細かく分類されています。
O-157は、ベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や、溶血性尿毒性症候群を引き起こす「腸管出血性大腸菌」の一種です。腸管出血性大腸菌のほとんどがO-157ですが、他に、O-26, O-111, O-128, O-145などがあります。
O-157は、気温の高い初夏から初秋にかけて多発する。
実は、米国では年間に2~3万人の患者が発生し、200~300人が死亡している。
日本では、1996年に全国的に爆発的な発生があり、この年の患者総数は17877人、死者12人。
水のような下痢、腹痛、血便(鮮血が多量、頻回にでることがある)、嘔吐、発熱
血液検査で白血球数やCRP値が高い。
検査O-157の確定診断のためには、便の培養検査が必要。
O-157は牛の大腸に生息しています。牛の便で汚染された肉や野菜、水を介して経口感染します。
この菌は数十個から100個の菌で感染を起こすために、患者や保菌者の便を介してさらに感染が広がることがあります。
日本でO-157による感染源と推定されたものは、井戸水、牛肉、牛レバ刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛たたき、ローストビーフ、サラダ、貝割れ大根、シーフードソース、シカ肉、キャベツ、白菜漬け、日本そば、メロンなどです。
潜伏期間は、2~14日(平均3~5日)
治療は、安静と水分の補給が重要です。
経口摂取が不可能な重症者には、点滴で水分を補います。
抗生物質の投与が一般的に行われます。
小児には、ホスホマイシン、カナマイシン、ノルフロキサシン
成人には、ニューキノロン薬、ホスホマイシン
乳酸菌製剤を併用することも一般的。
O-157は、75℃で1分間以上の加熱で死滅します。
野菜のO-157を除菌するには、湯がき(100℃の湯で、5秒間程度)が有効です。
参考:
厚生労働省 食中毒・食品監視関連情報