茶のしずく石鹸によるアレルギーが問題になっていたが、2011年11月に、日本アレルギー学会は「小麦アレルギーは、茶のしずく石鹸の旧製品に含まれる小麦由来成分『グルパール19S』が原因とみられる」と発表している。
石鹸の使用を繰り返すことで同成分が皮膚から吸収され、小麦に対して拒否反応を示すようになるという見解を示した。こういった症例はこれまで知られておらず、詳しい仕組みは不明で治療は難しいという。
厚生労働省が2012年3月に発表した健康被害の発症者は1567人。
『茶のしずく』を通常に使用した結果、じんましんや腹痛など「小麦アレルギー」を発症。重症の人は呼吸困難に陥ったり、意識を失ったりして救急搬送されたケースもある。また小麦を含む多くの食品が食べられないなど、日常生活に支障を来している。
全国の主婦ら535人が化粧品製造販売者として「悠香」、製造に関連した「フェニックス」、「片山化学工業研究所」の3社に対し、製造物責任法(PL法)に基づき計約70億4600万円の損害賠償を求め全国15の地裁と地裁支部に提訴した。 PL法による損害賠償請求訴訟が全国一斉に起こされるのは初めてということになる。
問題はPL法でいう”開発危険の抗弁”による免責が適応になるかどうかである。
日本では過去は被告による開発危険の抗弁を認めておらず、危険性は被告について予見できたと認定されている。
イレッサの場合は、判例は「当該製造物をその製造業者等が引き渡した当時において入手可能な世界最高の科学技術の水準がその判断基準とされるものと解するのが相当」としている。 そして、一例でも危険性を示す情報が入手可能であり、かつ、その製品と危険性の因果関係を否定する根拠がないならば、「入手可能な世界最高の科学技術の水準」においては欠陥の認識可能性があることになる。
このような判例から、その当時の知見によれば、イレッサにより間質性肺炎が発症し得ること及びそれにより死に至る可能性があったことの認識可能性はあったと認められるとしている。
因果関係がどうなのかという問題もあるが、開発危険の抗弁においては、過去の日本の判例を見る限りでは、認められにくいという結論になる。