日本皮膚科学会が『男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)』が公開されている。
http://www.dermatol.or.jp/
エビデンス根拠のレベルと推奨度決定基準
「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン(日本皮膚悪性腫瘍学会編)」1)で採用されたエビデンス根拠のレベル分類と推奨度の分類基準を用いたものだが、文献等エビデンスの参考に広く応用できるものであろう。その内容は次のようになっている。
●エビデンスのレベル分類
Ⅰ : システマティック・レビュー/メタアナリシス
Ⅱ : 1 つ以上のランダム化比較試験
Ⅲ : 非ランダム化比較試験
Ⅳ : 分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究)
Ⅴ : 記述研究(症例報告や症例集積研究)
Ⅵ : 専門委員会や専門家個人の意見
●推奨度の分類
A: 行うよう強く勧められる (少なくとも1 つの有効性を示すレベルⅠもしくは良質のレベルⅡのエビデンスがあること)
B : 行うよう勧められる(少なくとも1 つ以上の有効性を示す質の劣るレベルⅡか良質のレベルⅢあるいは非常に良質のⅣのエビデンスがあること)
C1 : 行うことを考慮してもよいが,十分な根拠がない(質の劣るⅢ~Ⅳ,良質な複数のⅤ,あるいは委員会が認めるⅥ)
C2 : 根拠がないので勧められない(有効のエビデンスがない,あるいは無効であるエビデンスがある)
D : 行わないよう勧められる(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある)
ただし,本文中の推奨度が必ずしも上記の判断基準に一致しない場合がある.人種的差異,分野によるエビデンスの不足,日本の社会的特殊事情,さらにガイドラインの実用性を勘案し,エビデンス・レベルを示した上で推奨度を決定した.
ちなみに、ミノキシジルと塩化カルプロニウムの評価は次のようになっている。
ミノキシジル外用の発毛効果に関して良質な根拠あり。5% ミノキシジル外用液を外用療法の第一選択薬として第一選択薬として強く推奨。
塩化カルプロニウム外用は、塩化カルプロニウム単独での有益性は現段階では十分に実証されていないが、生薬との合剤を含むわが国での膨大な診療実績あり。外用療法の一つとして推奨。