臨床試験結果の偏りとなる利益相反 (conflict of interest:COI)
臨床試験結果の偏りといって、何を連想するだろうか。大抵の人は、科学的視点からみたいわゆる偏り(バイアス)であり、それを防ぐために無作為化や盲検化がある。
ただ、実際の試験結果の評価には、この科学的な視点以外の力が働くことが考えられる。それは臨床試験を依頼している側と臨床医もしくは患者(被験者)との利害関係が影響を及ぼす可能性がある。臨床医がメーカーと関係が深かったり援助してもらっていたり、患者がより高い報酬をもらっていたりすると、心理的要因も働き好意的な評価となることが考えられる。
そこで、人を対照とする全ての医学研究に関しての倫理原則を定めたヘルシンキ宣言では次のように記載されている。
「13.研究者は、資金提供、スポンサー、研究関連組織との関わり、その他起こり得る利害の衝突及び被験者に対する報奨についても、審査のために委員会に報告しなければならない。」(日本医師会訳)
「27.研究成果の刊行に際しての著者及び発行者の倫理的責務 ○この刊行物中には、資金提供の財源、関連組織との関わり及び可能性のあるすべての利害関係の衝突が明示されていなければならない。」(日本医師会訳)
一方、ICH-GCPガイドラインにおいては、科学的側面での規制になっており、倫理面での問題を規定したものではない。
ヘルシンキ宣言以外で、日本で「利益相反」に関連したものは、次のものに記載されている。
※ ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成13年3月)
※臨床研究に関する倫理指針(平成15年7月)
米国では医薬品承認申請書に利害関係の報告書を提出することになっているが、日本には特に医薬品承認申請書での提出物の規定はないが、研究機関でのルールづくりがされてきている。