6月10日、改正独占禁止法が公布された。公布後1年を超えない範囲で指定された日からの施行となる。
その内容を骨子案から拾ってみた。
罰則の強化と課徴金の範囲拡大が主なポイントとなっている。
●課徴金制度等の見直し
(1)課徴金の適用範囲の拡大
排除型私的独占
不当廉売,差別対価
共同の取引拒絶
再販売価格の拘束(それぞれ同一の違反行為を繰り返した場合)
優越的地位の濫用
(2)主導的事業者に対する課徴金を割増し(5割増し)
(3)課徴金減免制度の拡充(最大5社,グループ申請可)
(4)事業を承継した一定の企業に対しても命令を可能に
(5)命令に係る除斥期間の延長(3年⇒5年)
課徴金算定率が追加
不当な取引制限 : 製造業10%(中小企業は4%)
小売業3%(中小企業は1.2%)
卸売業2%(中小企業は1%)
支配型私的独占 : 製造業10%
小売業3%
卸売業2%
<追加分>
排除型私的独占 : 製造業6%
小売業2%
卸売業1%
不当廉売、差別対価等 : 製造業3%
小売業2%
卸売業1%
優越的地位の濫用 : 1%
●不当な取引制限等の罪に対する懲役刑の引上げ
(3年以下⇒5年以下)
●企業結合規制の見直し
(1)株式取得の事前届出制の導入等
・他の企業結合と同様に事前届出制とする
・届出閾値を現行の3段階から2段階に簡素化
(2)届出基準の見直し等
・株式取得,合併等の届出基準を見直し
・外国会社についても国内会社と同様の届出基準を適用
・いわゆる叔父甥会社間の合併等同一企業結合集団内の企業再編は届出免除
その他改正
(1)海外当局との情報交換に関する規定の導入
(2)利害関係人による審判の事件記録の閲覧・謄写規定の見直し
(3)差止訴訟における文書提出命令の特則の導入
(4)損害賠償請求訴訟における義務的求意見制度の見直し
(5)職員等の秘密保持義務違反に係る罰則の引上げ
(6)事業者団体届出制度の廃止