男性型脱毛症や加齢による脱毛は男性ホルモンの影響によるところが大きいといわれている。
一方、性を問わずおこる脱毛や薄毛の原因の一つとして髪の毛の一番外側にあるキューティクル層の異常があることが国立遺伝学研究所、慶應義塾大学らのグループの共同研究で明らかにされた。
転写因子(Sox21) を働かなくさせたノックアウトマウスは、正常に発毛するが、生後15日目ごろから頭から次第に脱毛が始まり、約一週間後には全身の毛が抜け完全なヌードマウスになる。再び発毛がおこり、約25日後に再び脱毛する。
ノックアウトマウスは、脱毛が異常に早く起こってしまうため、周期的な脱毛状態を繰り返すとされている。
転写因子Sox21は毛の最外層のキューティクル層に特異的に発現し、キューティクルの重要な構成タンパク質であるケラチン遺伝子の発現を制御して毛を毛根につなぎとめるために必要な鉤形構造がなくなることが電子顕微鏡の観察から明らかになっている。
脱毛症の新たな医薬品開発や脱毛治療の第一歩になるかと注目を集めている。