財団法人 日本産婦人科医会のホームページに、『妊婦・授乳婦の新型インフルエンザに対するタミフルとリレンザの使用について』が緊急情報として載せられた。
http://www.jaog.or.jp/News/2009/090519.pdf
タミフル・リレンザの添付文書をみてみると、妊婦・授乳婦への投与は次のようになっている。
<妊婦や、授乳婦に対する安全性が確立していない>
*妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
*授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。
妊婦や授乳婦が発熱症状で産婦人科を受診してきた時、鑑別診断として、腎盂炎や虫垂炎等のほかに、上気道症状を認めた場合は、インフルエンザの可能性を疑い、地域の保健所に設置されている発熱相談センターと相談したうえで、発熱外来を紹介して、新型インフルエンザに関する診断検査を依頼。
発熱外来で、新型インフルエンザの診断が確定したら、妊婦や授乳婦に対して抗インフルエンザウイルス薬の処方を躊躇しない。
妊婦は、インフルエンザに感染すると重篤化することがあるので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、抗インフルエンザウイルス薬の使用をためらうべきではない。
授乳婦は、乳汁を介した新生児に対する副作用のエビデンスの報告はないので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、抗インフルエンザウイルス薬の使用をためらうべきではない。
妊婦への抗インフルエンザ薬投与に関してCDCからの報告
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5818a3.htm から作られたものである。
これに対し、NPO法人医薬ビジランスセンターは、『産婦人科医会に再考を求める:タミフルを妊婦に使用すると流産、胎児/新生児死亡、妊婦自身の危険が増大』
http://www.npojip.org/sokuho/090522.html として再考を求める意見書(改訂版)を作成し、日本産婦人科医会へ返事をしている。
http://www.npojip.org/sokuho/no120.pdf
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与・・・ 医療用医薬品の添付文書の常套句であるが、現場の判断は難しいことを実感する論議である。