2008年度の診療報酬改定と薬価改定は、診療報酬本体0.38%引き上げ、薬価収載品目全体の平均引き下げ率5.2%という結果になった。
2008年度薬価改定で、市場拡大再算定が適用されるのは11成分30品目。
これらについては、激変緩和措置として今回に限り「再算定に基づく改定率と通常改定率との平均値」での算出が適用された。
アンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、いずれも引き下げ。
(プレミネントは9.9%、それ以外の5成分は10.1%の引き下げ)
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は3成分とも10%の引き下げ。
プログラフ(免疫抑制剤)は、8.5%の引き下げ。
レミケード(関節リウマチ薬)は、6.9%の引き下げ。
薬価引き上げとなるのは、不採算品再算定でのフェニトイン散(抗てんかん剤)や塩酸モルヒネ(麻薬製剤)など48成分69品目。
また、薬価が、類似薬のなかで最も薬価が高いものの2割を下回るため、一般名で収載する品目(低薬価品)により、75成分90規格188品目が新たに一般名収載となった。
5.2%の薬価引き下げはなかなか厳しいものがある。弱いところ、取りやすいところから取るという発想なのであろう。
薬価引き下げは何をもたらすのか? それは医療用医薬品市場であるといえないだろうか?
少なくとも既存薬の市場は縮小してしまう。 国策からも特許期間切れの既存薬は薬価が引き下げられることに加えジェネリックにとって変わられる。つまり金額ベースでの市場縮小となっていく。
ARBの引き下げは、激変緩和措置が取られたにもかかわらず、薬価引き下げ平均よりも大きな幅であった。高齢化社会が進んでいくなか企業の研究開発意欲がなくならなければいいのだが・・・
一方、治験においてはブリッジングが進んでいる。そうなると新薬開発力に優れた外資企業にとっては日本は魅力的な市場になるであろう。研究開発力からいくと金額的に太刀打ちできるのは武田くらいしかない。あとは日本での販売力ということになるが、そうなると日本の販売のノウハウを使いたい外資企業が日本企業を買収したり提携したりというようなことがさらに加速してくることも考えられる。