何らかの処置と反応の因果関係についてはいろいろなことを考えなければならない。
①時間的な関連 (temporality) :投薬後に症状が改善していることが必要
これはレトロスペクティブな試験だとわかりにくい
②一致性(consistency) :メタアナリシスなど、複数の研究で同様の結果がでているか
③強固性(strength) :どのくらい改善されるのか効果の大きさの定量的評価も必要
④用法反応性(dose-response relationship):用法増加により効果増は有力な証拠
⑤実験的な証拠(experimental evidence) :動物実験と臨床の一致は因果関係の補助
⑥類似の関連(analogy):類似の構造の化合物で効果が再現されれば信憑性が増
しかし、効果などの因果関係を考える場合に、バイアスや偶然(確率的)、交絡を考える必要がある。
【バイアス】とは研究結果を真実から遠ざけてしまうすべての要因といえることができる。
バイアスを防ぐために重要なことは、思い込み(先入観)の排除、対象者の無作為抽出化、結果判定時の盲検化、統計解析時の意図的解析の排除が考えられる。
また論文バイアスも考える必要がある。つまり結果がでたものがレフリーを通りやすくなり、結果がでていない文献よりも結果がでてる文献が優先される傾向にある。
交絡の問題も注意しなければならない。給料が高い人は肥満の傾向があるということについては、確かに正の相関はあるが、それならば太れば給料が高くなるのかといったことになってしまう。ここには年齢という交絡因子がある。
だから、医薬品等の統計・因果関係考え、効果や副作用の検証をするというのは非常に難しい作業である。
よく製薬メーカーがもってくるパンフレット等があるが、あれなどは、よい結果を出したいために統計解析時に意図的解析を行ったりしているケースもあるであろう。確かにウソはついていないのだろうが、都合のいい解析法をしたり、区分をしているという可能性もあるということを考えないといけないのかもしれない。