財務省理財局の向井治紀国有財産企画課長が、保険給付の制限論議では「ターゲットになりやすいのは薬だろう」と私見を述べ、OTC類似医療用医薬品の保険給付除外を例に挙げた。(日本漢方生薬製剤協会の講演会「財政からみた薬剤を中心とした医療」をテーマとした講演にて)
高齢化により保険医療費がさらに伸びるため、投入する税や保険料の引き上げは避けられず、そのため歳出削減も求められ続けるが、患者一部負担の引き上げが上限まできていることから、削減策は「保険給付の制限」や「単価の引き下げ」に移行していくだろうと向井氏。
諸外国で行われている薬価制度、OTC類似医療用薬の保険給付除外、臨床検査の回数の抑制、高額療養費の負担額の引き上げなどが考えられる例として挙げられた。
軽医療を保険から除外する論議は、当然起こってくるだろうし、何年かすれば、いくつかは外れるだろうと予測し、この場合も“かぜ”という疾患を保険適用から外すと、重症化の懸念が起きてくるが、かぜ薬ならそういう問題が生じないということから薬がターゲットにされやすいとし、OTC類似医療用薬が給付除外の対象となる可能性を示唆した。
薬価制度についても、ドイツやフランスの制度を例に「長い目でみれば、各国で行っている仕組みが日本へも導入される可能性が高い」とし、保険免責制は「額は稼ぎやすいが、患者負担の重さなどから、最後の手段」と位置づけた。