富士フイルムホールディングスは、子会社の富山化学工業が開発した「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)について、年末から年明けにもエボラ出血熱の治療薬として国際的に承認される可能性があるとの見通しを示しました。
ファビピラビルは、本来抗インフルエンザウイルス薬として開発されたもので、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を防ぐことで増殖を防いでいきます。
このメカニズムのためインフルエンザウイルスの種類を問わず抗ウイルス作用が期待できるとされていて、エボラ出血熱ウイルスやノロウイルスにも効果があるとされてきました。
実際に、マウスの実験でノロウイルスの減少・消失が確認されています。
ただ、本来は既存のインフルエンザの薬が効かない新型インフルエンザが流行したときに、厚生労働大臣の養成を受けて製造開始されるという特殊な条件付きで2014年3月に製造販売承認を得ています。
アビガン錠は、フランス、スペイン、ノルウェー、ドイツの4カ国で4人の患者に投与されていますが、全員症状の回復をみていると言います。
富士フイルムによると、アビガン錠は2万人分の在庫があり、30万人分の原料を確保しているといいます。
11月中旬から、ギニアの患者60人を対象とした臨床試験が行われ、この治験結果が12月末に出て、結果次第ではその1ヵ月後に承認が出る見通しいなっています。
また厚生労働省は、国内で感染者が確認された際に、「アビガン錠」の投与を認める方針を固めました。