国立遺伝学研究所などのグループがマウスの脳の中で特定のたんぱく質の働きを抑えると記憶力が高まることを突き止めました。
この蛋白質は「αキメリン」と呼ばれる蛋白質で、ミッフィーマウスというもので知られています。
ミッキーマウスではなく、ミッフィーマウス!
ある蛋白遺伝子が壊れているマウスに、左右の足を同時に動かして、ちょうどうさぎ跳びのように跳ねて歩く突然変異マウスがいますが、これがミッフィーマウスです。
研究では、マウスにおいて「αキメリン」をノックアウトしたマウスを作り、通常のマウスを比較対象として記憶力に変化が起きるかということを調べていあす。
そしてその結果、αキメリンが働かなくなったマウスは、通常のマウスに比べて記憶力が1.5倍ほど高まることがわかりました。
さらに健常者にさまざまなテストを受けてもらった結果、αキメリン遺伝子のごく近くにある遺伝子発現を抑えてると思われる領域にある特定の一塩基が別の塩基になっている人は計算能力が高い傾向が見られました。
「αキメリン」を作る遺伝子に特定の変化がある人を調べたら、計算能力が高く自閉症的な傾向がみられるようです。
自閉症では計算能力や記憶力が著しく高くなることがあります。今後それに「αキメリン」がどう関与しているのか、自閉症の病因解明への新たな一歩として期待されています。
αキメリンには、α1型とα2型があり、正常マウスの脳において、成長期(生後2~3週間ごろまで)にはα2型が強く発現し、おとなではα1型が強く発現します。
マウスの実験では、α1型・α2型の両方のαキメリンをノックアウトされたマウスは、通常のマウスに比べ20倍も活発に活動することがわかりました。
そして
αキメリンが全く働かないマウスは、大人になってからの学習能力が高いという結果がでました。
その一方で、α1キメリンのみが働かないものや、大人になってからα1型・α2型の両方が働かなくなったマウスについては、通常のマウスとあまり変わらず、
『学習能力には、成長期におけるα2キメリンの働き重要な鍵を握っているないか』と推測されています。
研究詳細
http://www.soken.ac.jp/news/14399/